先日、都道府県を平成29年齢級別民有林(人工林)の面積割合によって、クラスター分析を実施して、4つに類型化しました。
4つのクラスター別に齢級別の面積割合の平均値を算出して、下記のグラフに示しました。 北海道、宮崎県、青森県等が含まれるクラスター1では、若い齢級も面積割合が高く、10齢級がピークかつ他のクラスターより最も高くなっています。 宮城県、福島県、山梨県等が含まれるクラスター2は、11齢級がピークかつ他のクラスターより最も高くなっています。また、10齢級、12齢級の割合も高いことが特徴といえます。 山形県、新潟県、石川県等が含まれるクラスターは、若い齢級及び16齢級以降の面積割合が高く、反対に9齢級から13齢級の割合が低いことが特徴です。 最後の茨城県、静岡県、埼玉県等が含まれるクラスター4ですが、若い齢級が低く、12齢級が最も大きくなっています。 これら民有林(人工林)の齢級別の違いは、森林施業への取組(森林経営計画認定状況等)、樹種、気候等の影響を受けてのことでしょうか。
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昨日、一昨日と2回に分けてグラフに示しました平成29年の齢級別の民有林(人工林のみ)の面積割合を都道府県で見てみると、違いがあるような気がします。
そこで、都道府県の関連をみてみるために、変数として齢級別の面積割合を用いて、クラスター分析を行いました。 分析にはエクセル統計を用いて、「階層型-凝集法」により、距離計算は「ユークリッド距離」、合併後の距離計算は「ウォード法」を選択しました。今回は、分割したいグループ数として、4としました。 その結果を元にした樹形図(デンドログラム)を下記に示します。都道府県の統合過程での最初のステップ1では、鳥取県と広島県が合併されて、次いで、兵庫県と徳島県が合併さて、最終的には一つに合併されます。ちょうど、縦の点線が設定したクラスター数(今回は4)で分ける場合の分割点となります。なお、詳細は次回以降に致します。 昨日に引き続き、11齢級(51年生~55年生)から20齢級以上までの都道府県別民有林(人工林)の面積割合を下記に示します。
11齢級では、昨日の10齢級と同様に、突出した都道府県は少ない傾向がみられます。しかし、12齢級になると徐々にばらつきがみられ、どちらかというと高齢級になるにつれて、西日本の割合が低くなる傾向が見られます。 また、17齢級では、愛知県、大阪府、福井県、18齢級では、大阪府、愛知県、奈良県、19齢級では、大阪府、愛知県、福井県がやや高く、奈良県と愛知県では、20齢級以上が約7.5%を占めています。 平成29年の都道府県別の民有林(人工林)齢級別面積割合を比較してみました。グラフが多いため、本日は、1齢級(1年生~5年生)から10齢級までを下記に示します。文字が小さくてスミマセン。
1齢級では、北海道と宮崎県が高い割合となっていますが、3齢級から香川県が高くなりはじめ、5,6,7齢級では、最も高い割合となっています。7齢級は約12%を占めていて、約10本に1本が7齢級、つまり31年生から35年生ということになります。香川県全体の面積が約1.8万haと小さいことも影響しているかもしれません(特定の民有林が一斉に伐採されて造林された等)。 また、10齢級になると、他の齢級に比較して、突出した都道府県が少なくなっています。 民有林の人工林の齢級分布が異なる宮崎県と愛知県のH19年、H24年、およびH29年の面積変化をこれまでに示してきましたが、それだけだと齢級ごとの3本の棒グラフが立ち、10年間でどの齢級の面積が減少したのかがわかりにくいので、それぞれの県のH19年と10年後のH29年での同じ森林での面積変化を下記に示しました。
愛知県では、H19年に10齢級だった森林がH29年に12齢級になる際に、約250haの森林が伐採されています。この変化が最も大きいです。13齢級以降は、各齢級で約100ha前後の伐採となっています。 一方、宮崎県では、愛知県と同様に10齢級から13齢級になる際に、約1万1千haが伐採等で面積が減少しているますが、8齢級か10齢級になる際に約1万ha、9齢級が11齢級になる際にも約6千が伐採されています。温暖な気候のため、樹木の生長が早いのが原因かもしれません。 ちょっと前に、平成29年度の愛知県人工林の20齢級(96~100年生)以上の面積割合が、約8%と、全都道府県で最も大きいと記載しましたので、平成19年、24年、29年の調査結果から、齢級別の面積を比較したものが下記グラフです(H19とH24の9齢級は、96年生以上含む)。
1齢級をみると、H19が335ha、H24が155ha、H29が124haと、再造林面積が減少していることがわかります。主伐(皆伐)自体の未実施、もしくは、主伐後の造林が未実施(造林未済地)、あるいは他の土地利用に変更等が想定されます。 また、標準伐期齢とされる10齢級以上での面積減少は少なく、H19年に10齢級の人工林が、H29年に12齢級のなる際に約259ha減少しているのが最も多くなっています。主伐の未実施あるいは、長伐期施業への移行が想定されます。 宮崎県では、人工林に占める民有林の割合は、約7割となっていますが、全国の状況について、平成29年のデータからグラフにしてみました。
割合の高い都道府県から並び替えています。最も民有林の割合が高い都道府県は、石川県で、約98%が民有林です。次いで、山梨県、大阪府、奈良県、東京都となり、19都道府県は、90%以上となっています。 民有林の割合が最も低いのは、青森県で約50%となり、半分は国有林が占めていることになります。次いで、北海道、福島県、群馬県、秋田県と続きます。茨城県までの8都道府県は、東日本となります。低いほうから9番目が宮崎県となります。 宮崎県の人工林は、国有林と民有林に分かれますので、民有林のみの平成19年、24年、そして29年の齢級別面積の変化を下記に示します。
面積が減少し始めるのは、H19年に6齢級の人工林が、H29年に7齢級になった時で、全人工林の場合が、5齢級が7齢級になる際ですので、民有林の場合、若干齢級が進んでから、主伐等が実施されている可能性があります。 最も面積が減少するのは、全人工林、民有林人工林ともに、標準伐期齢といわれるH19年に10齢級の人工林がH29年に12齢級となる際で、同じ傾向となっています。 昨日は、宮崎県内人工林全体の平成19年からの5年ごとの齢級別面積を示しましたが、人工林には、国有林と民有林に大きく分かれます。民有林は、都道府県や市町村が所有する公有林と、企業や個人等が所有する私有林から構成されます。
ちなみに、宮崎県での人工林全体と民有林の人工林の面積は以下の通りです。 全人工林面積(ha) 民有林の人工林面積(ha) 平成19年 356,247 252,570 平成24年 350,110 248,001 平成29年 332,270 232,368 10年で、全人工林面積は、27,975ha減少し、その内、民有林は、20,202haとなります。主伐による皆伐後の再造林が未実施、あるいは、他の土地利用への変更等が想定されます。 2万haは、東京ドーム4,230個分なので、かなり広大な面積となります。 昨日ブログのグラフから、平成29年における人工林の齢級別面積で宮崎県は、齢級の小さい(若い樹木)面積割合が比較的高いことがわかりました。この調査は、過去に平成19年、24年にも実施されていますので、面積がどのように変化したのかを下記に示します。
平成19年の1齢級と29年の3齢級、同様に19年の2齢級と29年の4齢級と続けて比較すると、19年の4齢級から6齢級までは、面積が増加していることがわかります。つまり、29年に6齢級以下の人工林は、伐採されることなく維持(間伐等は実施されている可能性あり)されるとともに、過去に伐採された山が遅れて再造林された可能性があります。 一方、19年に5齢級の人工林は29年に7齢級になる際に、少ないですが約97ha減少しています。19年に6齢級の人工林は、29年の8齢級になるまでに約1,500ha減少していることから、この齢級から主伐が本格的に実施されているようです。最も多く主伐が実施されているのは、19年に10齢級で29年に12齢級になる人工林で、約1.3万haが主伐として伐採されているようです。 |
Author井内正直 Archives
March 2025
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