民有林の人工林の齢級分布が異なる宮崎県と愛知県のH19年、H24年、およびH29年の面積変化をこれまでに示してきましたが、それだけだと齢級ごとの3本の棒グラフが立ち、10年間でどの齢級の面積が減少したのかがわかりにくいので、それぞれの県のH19年と10年後のH29年での同じ森林での面積変化を下記に示しました。
愛知県では、H19年に10齢級だった森林がH29年に12齢級になる際に、約250haの森林が伐採されています。この変化が最も大きいです。13齢級以降は、各齢級で約100ha前後の伐採となっています。 一方、宮崎県では、愛知県と同様に10齢級から13齢級になる際に、約1万1千haが伐採等で面積が減少しているますが、8齢級か10齢級になる際に約1万ha、9齢級が11齢級になる際にも約6千が伐採されています。温暖な気候のため、樹木の生長が早いのが原因かもしれません。
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ちょっと前に、平成29年度の愛知県人工林の20齢級(96~100年生)以上の面積割合が、約8%と、全都道府県で最も大きいと記載しましたので、平成19年、24年、29年の調査結果から、齢級別の面積を比較したものが下記グラフです(H19とH24の9齢級は、96年生以上含む)。
1齢級をみると、H19が335ha、H24が155ha、H29が124haと、再造林面積が減少していることがわかります。主伐(皆伐)自体の未実施、もしくは、主伐後の造林が未実施(造林未済地)、あるいは他の土地利用に変更等が想定されます。 また、標準伐期齢とされる10齢級以上での面積減少は少なく、H19年に10齢級の人工林が、H29年に12齢級のなる際に約259ha減少しているのが最も多くなっています。主伐の未実施あるいは、長伐期施業への移行が想定されます。 宮崎県では、人工林に占める民有林の割合は、約7割となっていますが、全国の状況について、平成29年のデータからグラフにしてみました。
割合の高い都道府県から並び替えています。最も民有林の割合が高い都道府県は、石川県で、約98%が民有林です。次いで、山梨県、大阪府、奈良県、東京都となり、19都道府県は、90%以上となっています。 民有林の割合が最も低いのは、青森県で約50%となり、半分は国有林が占めていることになります。次いで、北海道、福島県、群馬県、秋田県と続きます。茨城県までの8都道府県は、東日本となります。低いほうから9番目が宮崎県となります。 宮崎県の人工林は、国有林と民有林に分かれますので、民有林のみの平成19年、24年、そして29年の齢級別面積の変化を下記に示します。
面積が減少し始めるのは、H19年に6齢級の人工林が、H29年に7齢級になった時で、全人工林の場合が、5齢級が7齢級になる際ですので、民有林の場合、若干齢級が進んでから、主伐等が実施されている可能性があります。 最も面積が減少するのは、全人工林、民有林人工林ともに、標準伐期齢といわれるH19年に10齢級の人工林がH29年に12齢級となる際で、同じ傾向となっています。 昨日は、宮崎県内人工林全体の平成19年からの5年ごとの齢級別面積を示しましたが、人工林には、国有林と民有林に大きく分かれます。民有林は、都道府県や市町村が所有する公有林と、企業や個人等が所有する私有林から構成されます。
ちなみに、宮崎県での人工林全体と民有林の人工林の面積は以下の通りです。 全人工林面積(ha) 民有林の人工林面積(ha) 平成19年 356,247 252,570 平成24年 350,110 248,001 平成29年 332,270 232,368 10年で、全人工林面積は、27,975ha減少し、その内、民有林は、20,202haとなります。主伐による皆伐後の再造林が未実施、あるいは、他の土地利用への変更等が想定されます。 2万haは、東京ドーム4,230個分なので、かなり広大な面積となります。 昨日ブログのグラフから、平成29年における人工林の齢級別面積で宮崎県は、齢級の小さい(若い樹木)面積割合が比較的高いことがわかりました。この調査は、過去に平成19年、24年にも実施されていますので、面積がどのように変化したのかを下記に示します。
平成19年の1齢級と29年の3齢級、同様に19年の2齢級と29年の4齢級と続けて比較すると、19年の4齢級から6齢級までは、面積が増加していることがわかります。つまり、29年に6齢級以下の人工林は、伐採されることなく維持(間伐等は実施されている可能性あり)されるとともに、過去に伐採された山が遅れて再造林された可能性があります。 一方、19年に5齢級の人工林は29年に7齢級になる際に、少ないですが約97ha減少しています。19年に6齢級の人工林は、29年の8齢級になるまでに約1,500ha減少していることから、この齢級から主伐が本格的に実施されているようです。最も多く主伐が実施されているのは、19年に10齢級で29年に12齢級になる人工林で、約1.3万haが主伐として伐採されているようです。 先日、都道府県によって、人工林の齢級(5年ごとに林齢を括ったもの)別の面積割合が異なることをグラフで表示しましたが、都道府県の中で1齢級(1年生から5年生)の面積割合が最も大きい宮崎県と、20齢級以上(96年生以上)の面積割合が最も大きい愛知県について、人工林齢級別面積割合をグラフしたものを下記に示します。
宮崎県では、5齢級まで約3%前後の面積割合をキープし、10齢級が最も大きくなり、15齢級以上では1%以下となっています。 愛知県では、4齢級まで1%以下と低く、徐々に割合が高くなり、12齢級でピークとなり、その後は約4%前後をキープして、20齢級以上は約8%を占めています。 戦後、一斉に造林が実施されたようですが、その後の施業の違いによって、林齢分布が地域で異なるようです。 先日、行田市内の森林IoT「見ま森さま(MMS)」の更新作業に伺った際に、行田市の名産「奈良漬」をM宅ご主人から頂きました。
行田市は、テレビドラマで「足袋」の生産地として有名となりましたが、市から申請していた日本遺産「和装文化の足元を支え続ける足袋蔵のまち行田」が、平成29年4月28日に日本遺産として認定されていまして、奈良漬はそのストーリーの構成資産の一つとなっています。資料によりますと「足袋商店が得意先への贈答品として愛用している行田の奈良漬。足袋産業全盛期には、足袋商店の店先に漬物樽が 持ち込まれ、そこで漬けて持ち出されていた。」ようです。 5月のMMSプロトタイプ機設置の際には、これも行田名物のフライ(小麦粉を溶いてねぎを入れ、薄く延ばして焼き上げたお好み焼きに似た郷土料理。足袋工場に勤める女工さんのおやつとして普及した)、ゼリーフライ(おからとジャガイモを混ぜて揚げたコロッケに似た郷土料理。足袋工場に勤める人々に、おやつとして愛されている )を頂きましたので、日本遺産に認定されている中での食べ物は美味しく頂きました。 7月から埼玉県行田市内の屋敷林に設置して、動作確認の試験運用をしてきました森林IoT機器「見ま森さま(MMS)」の子機の電池交換等、ソラーパネルを低照度版に変更した親機の更新作業に行ってきました。
M宅は、親機の状況確認と、子機の電池交換をしました。親機の外側は若干汚れが見られましたが、ソーラーパネル側は傾いているので、発電を妨げる汚れや落ち葉等はありませんでした。また、内部に水が入った痕跡は見られませんでした。 A宅では、子機の更新(電池交換及びソフトウェア等更新)、親機のソーラーパネルを低照度版に変更した機器に変更しました。下記写真左は、交換した子機です、色が変わりました。 写真中央と右は、交換した親機で、Sigfoxのアンテナを内蔵したタイプと外に出した2タイプとなっています。 これまでは、夏季の高温、また台風等の強風での動作確認試験でしたが、これからは、冬季の低温、降雪(降るといいですが。。)での動作確認試験となります。 林野庁からは、森林資源の現況に関して、都道府県別で集計した結果を、エクセルファイルで公表しています。そこで、人工林について、都道府県別の齢級割合を計算してみました。グラフは、都道府県は47、齢級は20段階で作成できますが、ここで一度にグラフを示すことは細かくなり見づらいので、一般的な人工林伐期齢級(10~12齢級前後)の前後、9齢級と13齢級の都道府県別人工林面積割合(%)を下記に示しました。
あくまで傾向ですが、北海道、東北、九州地方では、伐期齢級後の面積比率が低くなっており、反対に関東、中部地方では、高くなっています。低くなっている地域では、人工林の皆伐が実施され、高くなっている地域は長伐期施業あるいは管理放棄されている可能性が考えられます。終戦後、全国で一斉に造林が実施されましたが、その後の管理については、かなり地域差があるようです。 |
Author井内正直 Archives
December 2024
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